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![]() [「My Library!」84] 2024年12月11日 ![]() では、今回のおすすめ本は……。 ■『存在のすべてを』 塩田 武士(著) 平成3年に発生した誘拐事件から30年。当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「今」を知る。異様な展開を辿った事件の真実を求め再取材を重ねた結果、ある写実画家の存在が浮かび上がる……。 2024年本屋大賞3位。序章からリアルな誘拐事件の展開で引き込まれた。プロットもよくできており、読みごたえはあったが……、少々辛口でレビューする。中盤から、現実にはありえないであろう?都合の良い展開の連続(ネタばれになるので書かないでおく)で、新聞記者の門田の取材が進んでいく。また、不自然な偶然など突っ込みどころも多く、しらけてしまい、ページをめくる手が止まった。フィクションなので、なんでもありだろうけど……。4歳児の描く絵がどれほどすごいのか?7歳で帰ってきた時点で警察が事件を解決できないなんてありえるのだろうか?最初に誘拐された小6の男の子くらいの年齢ならわかるが、小学1年生の亮があまりにも大人びてみえた。しかし、空白の3年間では、涙は出なかったが、一気読み。貴彦や兄はどうなったのか?優美と亮の再会シーンとかあればよかったのにな。 おすすめ度は、★4つ。 ■『谷から来た女』 桜木 紫乃 (著) アイヌ紋様デザイナー・赤城ミワ。彼女といると、人は自分の「無意識」に気づいてしまう。自分の気持ちに、傷ついてしまう……。そして、彼女は去ってゆく。忘れられない言葉を残して。桜木紫乃の真骨頂、静かに刺してくる大人の物語。 「谷から来た女」…2021年。大学教授の滝沢は、テレビ局の番組審議会でミワと出会う。大人の恋愛を楽しむ二人だったが…。「ひとり、そしてひとり」…2004年。アクセサリーショップとセクシーパブで働く千紗は、夜のすすきのでデザイン学校の同期・ミワと再会する。「誘う花」…1999年。教育通信の記者・譲司は、取材で出会ったミワの弟トクシがいじめられていることに気づく。「無事に、行きなさい」…2015年。レストランシェフの倫彦は、ミワとの将来を信じながらも、どこか遠さを感じている。「谷へゆく女」…1982年。母を亡くした中川時江は、高校卒業と同時に、文通相手の赤城礼良を頼って北海道へ向かう。「谷で生まれた女」…2023年。北海道テレビプロデューサーの久志木は、ミワのドキュメンタリーを撮影するが…。 久しぶりに桜木ワールドを読みたくなり手に取った。背中で描く官能シーンはさすがだなぁ〜。今回は奥さんとはいえ、遺体との官能シーンにはゾクッとした。6つの短編集だが、1つの長編としても読めます。主人公赤城ミワの人生をいろんな人の視点から、時代を少しずつ変えながら、人を変えながら浮き彫りにしていくという小説。アイヌのことはよく知らなかったが、この作品に出会い、ネットで検索してるうちに、少しはアイヌ民族の歴史を知ることができた。映画『ゴールデンカムイ』や『シサム』を観てみたい。 おすすめ度は、★4つ。 ――つづく。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 今回のおすすめN3は、第6616終了現在、第6517回より99回出現なしの3桁プラス[19] 狙いで 10点継続。 [496] [559] [676] [775] [829] [865] [874] [883] [919] [973] ![]() (C)イマジカインフォス
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![]() [「My Library!」84] 2024年12月11日 ![]() では、今回のおすすめ本は……。 ■『存在のすべてを』 塩田 武士(著) 平成3年に発生した誘拐事件から30年。当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「今」を知る。異様な展開を辿った事件の真実を求め再取材を重ねた結果、ある写実画家の存在が浮かび上がる……。 2024年本屋大賞3位。序章からリアルな誘拐事件の展開で引き込まれた。プロットもよくできており、読みごたえはあったが……、少々辛口でレビューする。中盤から、現実にはありえないであろう?都合の良い展開の連続(ネタばれになるので書かないでおく)で、新聞記者の門田の取材が進んでいく。また、不自然な偶然など突っ込みどころも多く、しらけてしまい、ページをめくる手が止まった。フィクションなので、なんでもありだろうけど……。4歳児の描く絵がどれほどすごいのか?7歳で帰ってきた時点で警察が事件を解決できないなんてありえるのだろうか?最初に誘拐された小6の男の子くらいの年齢ならわかるが、小学1年生の亮があまりにも大人びてみえた。しかし、空白の3年間では、涙は出なかったが、一気読み。貴彦や兄はどうなったのか?優美と亮の再会シーンとかあればよかったのにな。 おすすめ度は、★4つ。 ■『谷から来た女』 桜木 紫乃 (著) アイヌ紋様デザイナー・赤城ミワ。彼女といると、人は自分の「無意識」に気づいてしまう。自分の気持ちに、傷ついてしまう……。そして、彼女は去ってゆく。忘れられない言葉を残して。桜木紫乃の真骨頂、静かに刺してくる大人の物語。 「谷から来た女」…2021年。大学教授の滝沢は、テレビ局の番組審議会でミワと出会う。大人の恋愛を楽しむ二人だったが…。「ひとり、そしてひとり」…2004年。アクセサリーショップとセクシーパブで働く千紗は、夜のすすきのでデザイン学校の同期・ミワと再会する。「誘う花」…1999年。教育通信の記者・譲司は、取材で出会ったミワの弟トクシがいじめられていることに気づく。「無事に、行きなさい」…2015年。レストランシェフの倫彦は、ミワとの将来を信じながらも、どこか遠さを感じている。「谷へゆく女」…1982年。母を亡くした中川時江は、高校卒業と同時に、文通相手の赤城礼良を頼って北海道へ向かう。「谷で生まれた女」…2023年。北海道テレビプロデューサーの久志木は、ミワのドキュメンタリーを撮影するが…。 久しぶりに桜木ワールドを読みたくなり手に取った。背中で描く官能シーンはさすがだなぁ〜。今回は奥さんとはいえ、遺体との官能シーンにはゾクッとした。6つの短編集だが、1つの長編としても読めます。主人公赤城ミワの人生をいろんな人の視点から、時代を少しずつ変えながら、人を変えながら浮き彫りにしていくという小説。アイヌのことはよく知らなかったが、この作品に出会い、ネットで検索してるうちに、少しはアイヌ民族の歴史を知ることができた。映画『ゴールデンカムイ』や『シサム』を観てみたい。 おすすめ度は、★4つ。 ――つづく。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 今回のおすすめN3は、第6616終了現在、第6517回より99回出現なしの3桁プラス[19] 狙いで 10点継続。 [496] [559] [676] [775] [829] [865] [874] [883] [919] [973] ![]() (C)イマジカインフォス
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