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[「必当☆予想人!番外編」第1話]

2020年2月19日
二月の最初の午の日を初午といい、稲荷の祭日である。俗に「伊勢屋稲荷に犬の糞」といわれるように、江戸市中のいたるところに稲荷神社があった。社前には、のぼりがはためき、子供らが叩く太鼓の音や笛の音が、一日中鳴り響いた。

髪結いのパラは、王子稲荷に参詣した帰り道、一匹の狐が美女に化けるところを見かける。どうやらこれから人を化かそうという腹らしい。

「ここはひとつ、化かされたふりをしてやれ。小腹もすいたことだし」と、大胆にも女狐に声をかけたのだ。

「おやっ?おたかはん、パラだよ、髪結いのパラだよ。いつもお世話になってるお礼に、よければそこの糸庄で食事でもどうだい?」と知り合いのふりをすると、「あらパラさん、おはよんです(^^)/ 食事をごちそうしてくれるの?きのどくな。今月如月も宜しくお願い致しますm(__)m」とカモを見つけたと思った狐も合わせてきたのだった。

かくして近くの糸庄のうどん屋に上がり込んだ二人、油揚げならぬもつ煮込みうどんなどを注文し、熱燗で差しつ差されつやっている。

「先月は誕生月で富くじが当たったそうだね。おめでとさん」

「なぁん、たいしたことないっちゃ。幾つか追っ掛けしている数字の1つでした。ようやく来てくれたっちゃ」

狐のおたかはん、上機嫌で盃を傾けていたら、すっかり酔いつぶれ、すやすやと横になって眠ってしまった。

そこで小腹も満たされたパラは、今だと思い「勘定は女が払う」と言い残すや、狐を置いてさっさと帰ってしまう。

しばらくして、「お勘定を……」と店の者に起こされたおたかはん、パラが帰ってしまったと聞いて驚いた。

びっくりしたあまり、耳がピンと立ち、尻尾がにゅっと生える始末。正体露見に今度は店の者が驚いて、狐を追いかけ回し、狐は散々な目に遭い、「助けて〜darling(^3^)/ 」と言って逃げ出した。

狐をだましたパラは、請負人の新生菜に話すと「ひどいことをしたもんだ。狐は執念深いよ。祟りを受けたって知らないよ」と脅かされ、青くなって翌日、王子稲荷まで詫びにやってくる。

巣穴とおぼしきあたりで遊んでいた子狐に「昨日は悪いことをした。母ちゃんに謝っといてくれ」と手土産を言付けた。

巣穴の中では痛い目にあった母狐が、うんうんと唸っている。

子狐は「今、人間がきて、謝りながらこの風呂敷包み置いていったちゃ」と母狐に手土産を渡す。

警戒しながら風呂敷をほどいてみると、箱の中には美味そうなぼた餅が入っている。

子狐「母ちゃん、このぼた餅美味しそうちゃ。食べてもいいけ?」

母狐「そりゃだちゃかんよ!馬の糞かも知れんちゃ」

どうやら人間不信に陥ってしまったようだ。


──つづく。

今回のおすすめN3は、第5370回終了現在、第5304回より66回出現なしの十の位未出現[5]を軸にして、『百※一』ペア未出現を当てはめ5点継続。

[251][258][558][853][959]


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二月の最初の午の日を初午といい、稲荷の祭日である。俗に「伊勢屋稲荷に犬の糞」といわれるように、江戸市中のいたるところに稲荷神社があった。社前には、のぼりがはためき、子供らが叩く太鼓の音や笛の音が、一日中鳴り響いた。

髪結いのパラは、王子稲荷に参詣した帰り道、一匹の狐が美女に化けるところを見かける。どうやらこれから人を化かそうという腹らしい。

「ここはひとつ、化かされたふりをしてやれ。小腹もすいたことだし」と、大胆にも女狐に声をかけたのだ。

「おやっ?おたかはん、パラだよ、髪結いのパラだよ。いつもお世話になってるお礼に、よければそこの糸庄で食事でもどうだい?」と知り合いのふりをすると、「あらパラさん、おはよんです(^^)/ 食事をごちそうしてくれるの?きのどくな。今月如月も宜しくお願い致しますm(__)m」とカモを見つけたと思った狐も合わせてきたのだった。

かくして近くの糸庄のうどん屋に上がり込んだ二人、油揚げならぬもつ煮込みうどんなどを注文し、熱燗で差しつ差されつやっている。

「先月は誕生月で富くじが当たったそうだね。おめでとさん」

「なぁん、たいしたことないっちゃ。幾つか追っ掛けしている数字の1つでした。ようやく来てくれたっちゃ」

狐のおたかはん、上機嫌で盃を傾けていたら、すっかり酔いつぶれ、すやすやと横になって眠ってしまった。

そこで小腹も満たされたパラは、今だと思い「勘定は女が払う」と言い残すや、狐を置いてさっさと帰ってしまう。

しばらくして、「お勘定を……」と店の者に起こされたおたかはん、パラが帰ってしまったと聞いて驚いた。

びっくりしたあまり、耳がピンと立ち、尻尾がにゅっと生える始末。正体露見に今度は店の者が驚いて、狐を追いかけ回し、狐は散々な目に遭い、「助けて〜darling(^3^)/ 」と言って逃げ出した。

狐をだましたパラは、請負人の新生菜に話すと「ひどいことをしたもんだ。狐は執念深いよ。祟りを受けたって知らないよ」と脅かされ、青くなって翌日、王子稲荷まで詫びにやってくる。

巣穴とおぼしきあたりで遊んでいた子狐に「昨日は悪いことをした。母ちゃんに謝っといてくれ」と手土産を言付けた。

巣穴の中では痛い目にあった母狐が、うんうんと唸っている。

子狐は「今、人間がきて、謝りながらこの風呂敷包み置いていったちゃ」と母狐に手土産を渡す。

警戒しながら風呂敷をほどいてみると、箱の中には美味そうなぼた餅が入っている。

子狐「母ちゃん、このぼた餅美味しそうちゃ。食べてもいいけ?」

母狐「そりゃだちゃかんよ!馬の糞かも知れんちゃ」

どうやら人間不信に陥ってしまったようだ。


──つづく。

今回のおすすめN3は、第5370回終了現在、第5304回より66回出現なしの十の位未出現[5]を軸にして、『百※一』ペア未出現を当てはめ5点継続。

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